
今回のエントリーではこんなネタを紹介していきます。
本記事の内容
・グラフィックデザインのバランス感覚を鍛える方法
若手のデザイナーが身に染みて感じることだと思いますが、「デザインにおけるバランス」はなかなか習得が難しいスキルです。私もある程度のバランス感覚が身につくまでは3年くらいかかりました。今でもバランスがしっくりこないときは部分的に時間をかけることもあります。
また、これまでに何人も部下を教えてきましたが、誰もが例外なくバランスが上手くとれず苦しんでいました。
今回は、自分も悩んで苦しんできた中で見つけた「グラフィックデザインのバランスを鍛える5つの近道」というアドバイスを紹介したいと思います。
バランスはすぐには身につかない
早速ですが、
バランス感覚は一朝一夕では身につきません。
これをやれば劇的に良くなる!解決する!といった都合のいいことはなく、たくさんの参考デザインを見て、手を動かして、分析して、また考えてという作業を何度も何度も繰り返してやっと身についていくものです。
できない頃はなかなかしんどいですが、正しく努力をすればきちんと身につけることができる感覚です。焦ることなく進めましょう。
バランス感覚を身につける5つの近道
ここからはバランス感覚を身につけるための5つの近道を紹介します。これは自分が体感してきたこと、部下を教えてきて感じたことをベースとしてまとめています。
❶ 先輩に手直ししてもらう前と手直ししてもらった後の前後のカンプで出力を出し確認
デザインの、特にバランスの修正が入った際にはプリントを出して、修正前後のプリントを確認します。どこをどのように調整したら良くなったのか?先輩がポイントにしていたのはどこなのか?自分で赤字を入れて紙の上で確認します。
この紙の上というのがポイント。ディスプレイより紙に出しすことで最終的なアウトプットに近いリアルなバランスを見ることができます。そのためできるだけ等倍に近いサイズでプリントアウトをしてましょう。
また、この修正前後の出力は保管して分析していくことをオススメします。実際に悩んだところの遍歴が保管されていれば自分の苦手なところを自覚することができます。
例えばいつも同じようなバランスを指摘されていたら、そこを重点的に勉強すればよいのです。このように自分の苦手なところを理解し意識するためにも修正前後で出力を保管しておきましょう。これはこちらの記事で紹介したデザインノートにまとめておくと振り返りもできるのでオススメです。
❷ 説明できるように考えながら組む
デザインをするときになぜこのバランスで組んだのかを説明できるようにします。なぜこれらの項目は揃っているのか?なぜこれだけスペースを空けたのか?細かなところまで説明できるように組んでみるのがポイントです。
改めて無意識に組んでいたものを、説明することを意識して組んでみるとそのデザインである理由を再認識することができます。これを続けていくことでデザインを言語化することができるようになります。
デザインの言語化はクライアントを説得するときにも必要なデザイナーの重要スキルなのでデザインができている理由をしっかりと伝えることをクセづけておく事をオススメします。
❸ レイアウトに関する知識を身につける
上の「バランスを説明できるようにする」と通じるところがありますが、黄金比や白銀比などデザインのバランスやレイアウトに関する知識があるとさらに説明(言語化)をしやすくなります。そのためにはレイアウトに関する知識をたくさん取り入れ、実際に試して自分のモノにしていくことが大切です。
❹ バランスがよいデザインをたくさんスクラップする
自分が見て「バランスがいいな」と思うデザインをスクラップしておきます。グーグルドライブやpinterestのようなサービスもあるしスマホに保存しておくといった方法もあるのでスクラップをするサービスには事欠かないと思います。自分にあったサービスで問題ありません。
ポイントとしては、バランスのよいと感じる部分と全体を合わせてスクラップすること。気になったバランスのよい部分が全体の中ではどのように作用をしていて、どのように見えるのかという部分を見て認識しておきましょう。
細部と俯瞰した全体を意識することが大切。
例えば雑誌FUDGEの見出しが素敵なのでそこをフィチャーしてみます。下記のようなバランスが美しい参考になるパーツ(タイトルまわり)があります。FUDGEのデザインのバランスってホント絶妙でいいです。
こういうときにはあわせて下記のように全体もスクラップします。
これは美しいパーツのデザインが全体の中ではどのように見えているのかを再認識するために行います。デザインは周囲の影響を大きく受けるので、全体と俯瞰を意識しましょう。
若手のデザイナーによくあるのですが、全体の雰囲気を固める前にページ内のパーツから作り込んでしまい、そこに時間をかけすぎて後になって全体のバランスが上手くまとまらないという状態になることがあります。
これは部分に目線がフォーカスされすぎて全体を俯瞰で見れていないということが原因です。このようなことを頭で理解するためにも、部分と全体の関係性をつかむことが大切です。
❺ トレースしてみる
絵画でも練習の方法として確立されていますが、デザインでも気になるデザインをトレースするのはとても勉強になります。ここでのトレースは実際にデザインをイラストレーター上に配置して行う完全なコピーではなく、目視でバランスを見ながらトレースを行うことです。(写真などは別にスキャンしてパーツにしておくと良いです)
目視でバランスを近づけていくので手を動かしながら実際の距離感を体感的に身につけていくことができます。もちろん最後は実際とどれくらい誤差があったのか確認しましょう。
これは目も手も同時に鍛えられるので、今回紹介した近道の中では一番のオススメです。大切なのは目(見る)と手(手を動かす)と頭を使う(考える、分析する)こと。
まとめ
今回はグラフィックデザインのバランス感覚を鍛える5つの近道として、自分の体験、部下に教えてきたことなどをベースに方法論をまとめてみました。
このデザインのバランスは何をどこまでやれば身につくというものではなく、上手くできないうちはホントしんどいんです。いつになったらできるんだろうと焦ったりもしますが、バランス感覚が身についてくるとデザインを見るのも作るのも、今よりもっともっと楽しくなります。この記事が同じような悩みを持つデザイナーさんの助けになれば幸いです。
それでは、今回はこのへんで。